2016.06.03

打撃3部門キャリアハイも。坂本勇人が語る「打撃開眼」の軌跡

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 好調だった開幕当初から一転、巨人は5月に入り苦しんだ。28日の阪神戦(東京ドーム)では10年ぶりとなる7連敗を喫し、最下位転落も見えていた。そんな状況の翌日の試合で苦境にあえぐチームを救う一打を放ったのは、主将として2年目を迎えた坂本勇人だった。

主将としてチームを牽引する巨人・坂本勇人

 3回に新人の重信慎之助の中前打で先制し、さらに二死走者なしから坂本がレフトにソロアーチを放つ。内角寄りの浮いたフォークボールを「うまく反応できた」と、きれいに体を回転させて捉えた一打。貧打に苦しむ打線が奪った得点はこの2点だけだったが、投手陣が1失点で粘り、長いトンネルをようやく抜け出した。結果的に坂本のひと振りが、値千金の1点となった。

 坂本は「重信がいいタイムリーを打ってくれて、それに続けてよかった。なかなか勝てなかったので、まずはホッとしています」と本音を明かし、安堵の息をついた。

 交流戦に入ってもオリックスに3連勝し、チームは再び2位に浮上。坂本自身もここまで打率.354(リーグ1位)、11本塁打、32打点と好成績を残している。「個人的な記録はシーズンが終わってから考えたい」と関心を示さないが、ここまで文句なしの数字を残し、自己最高のシーズンを送っている。(※記録は6月2日現在)

 ここ3年は不本意な成績に終わり、坂本も「不甲斐なかった」と振り返る。ポテンシャルの高さから周囲はさらなる飛躍を期待し、高橋由伸監督は就任当初から軸のひとりとして事あるごとに坂本の名前を挙げ、「もっとできる」と叱咤激励してきた。坂本自身も伸び切れない現状に危機感を覚え、もう一度、打撃を見直した。