今季まだ1勝のみ。投手・大谷翔平に何が起きているのか?

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 ちなみに今シーズン、西武戦の成績は0勝2敗、防御率6.00。昨年が5勝1敗、防御率1.71、一昨年が3勝1敗、防御率1.34。要するに、相手に研究されてきたということなのか。

「去年まではパワーで押し切ってアウトが取れていました。でも、今年は打者が大谷に対しての準備ができているわけです。大谷との対戦回数が増え、160キロのボールを体が覚えるようになった。15日の試合で印象的だったのは、メヒアが161キロの球を無理に引っ張ることなく、ライトフェンスを直撃した同点の二塁打です。あれは振り遅れではなく、ストレートは捕手寄りのポイントでいい、という準備があったから右手で押し込めた。そういう意味で、今年は大谷からヒットを打った選手のしてやったりの顔が多いですよね。事前の準備があって、想定内のバッティングができているからだと思いますね」

 また岩本氏は、「ピッチャーとしての生活時間が少ないことの影響が出てきたのかな」と言った。

「ピッチャーは、登板翌日は疲れを取り、そこから次の登板に向けて、逆算して練習をしていきます。出場しない試合でも、相手を観察して頭の中でピッチングするのも、ひとつの練習です。ところが、彼はその時間、打席にいるわけです。体を休める時間が少ないというのではなく、頭の中でのピッチャーとしての生活時間が圧倒的にほかの投手より少ない。それに対して打者たちは去年より大谷への準備をして打席に立つわけです。ただ、僕は心配していません。いずれは通らなければならない道ですし、大谷が若いうちに、それもシーズン序盤にこの苦しみが来てよかったと思います」

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