不器用な男、ロッテ細谷圭がたどり着いた「11年目の打撃開眼」 (2ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • photo by Kyodo News

 現在の野球はスライダーやフォークボールなど定番の変化球の精度が上がり、ツーシームやカットボールなど、打者の手元で微妙に動く球も増えてきた。今ではほとんどの投手がこれらの球を使い、打ち損じを少なくするためには、打者の工夫もこれまで以上に必要になってきている。

 細谷も昨季から打撃改造に取り組み、「(打撃を変えて)2年目で自分のなかで理解できて、やれている。実戦でできるようになってきた」と今の打法が体に染みこんできた。

 昨季もイースタンリーグの打点王を獲得するなど、二軍での実績は十分だった。ただ、これまではどうしても一軍で満足する成績を残すことはできず、そこに大きな"壁"があった。それを崩したのは先ほどの技術的な改良に加えて、心の持ちようの変化も大きな要因となった。

 当然ながら、一軍のピッチャーは二軍に比べて球が強く、コントロールがいい。さらに捕手の配球もより緻密で、バッターの頭を悩ませる。簡単には打てない。打てないから、結果を求め、どんな球にも手を出すようになってしまう。そうなると相手の術中にはまり、打つのはさらに難しくなる。ボール球に手を出すことで自らの打撃は崩れていく。悪循環にはまるパターンだ。

「考え過ぎている部分もあった。全部、打とうとしてしまっていた。状態が悪くなってくると、自然と(球を)追いかけていってしまう。(今は)割り切って打席に立って、狙っている球を確実に打とうという意識でいる」

 切り替えを心に置き、引きずることをやめた。

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