今永昇太と原樹理。遠かったプロ初勝利までの「友情秘話」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 後日、今永に原の初勝利について聞くと、こんな答えが返ってきた。

「アイツがいいピッチングをすれば『ナイスピッチング!』と思えますけど、言葉にするのが難しいですね。僕が2勝していたり、少なくとも1勝していれば、心からうれしい部分もあると思うんですけど、自分がまだその状況にないですからね。少し自分のなかで、視野が狭くなっている部分があるというか……そういう意味でも早く1勝したいですね」

 そしてこう続けた。

「プロの世界で視野を広げるには、やっぱり勝つことだと思うんです。こうすれば勝てるんだ、ということを覚えれば、勝利を積み重ねていけるだろうし、メンタル面においても大事なことだと思っています。ここまで、僕は実力で負けています。負けが込んでくると“運のせい”にしたくなるかもしれませんが、それではピッチャーとしての成長が止まってしまいます。たとえば、こういうときの変化球はボールでいいのか……とか。今の自分に力が足りなりことを認めて、そのなかで考えていかなければいけないと思っています」

 そして5月6日、今永は広島戦(マツダスタジアム)で先発。強力カープ打線を7回無失点に抑え、打線も6点を援護。プロ入り6度目の登板にして、待望の初勝利をつかみ取った。

 ようやくプロ1勝を挙げた今永と原。勝つことを知ったルーキー2人は、これからどこまで勝ち星を積み重ねているのか。じつに楽しみなところである。

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