今永昇太と原樹理。遠かったプロ初勝利までの「友情秘話」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

―― 技術的な部分はすでにプロのトップレベルにあるように思えます。(5月5日の時点で)防御率2.45はリーグ5位。与えた四球は33イニングで4個しかありません。

「四球に関しては、大学時代は意外と多いんですよ。自分はまだルーキーなので、今はどの球団も僕の情報を集めているところだと思います。シーズン後半になれば、具体的な数値が出てきて、たとえばこのカウントならインコースにくるとか、キャッチャーがインコースに構えたらほぼ真っすぐとか......。なので、現段階で通用しているとか、していないとかの判断は難しいですね。プロのバッターは一発で仕留めてくるので、ピッチャーとして一番やってはいけないことは、ボール、ボールとなって、相手にフルスイングしやすいカウントにしてしまうことです。そうならないために、先にゾーンのなかで攻めていく。これがピッチャーの原点であり、じつは一番難しいことなんです。ただ、今の僕には背負うものがないので、かわさずに投げられている。それが四球の数や、防御率につながっていると思います」

 とてもプロ1年目の投手とは思えない落ち着きぶりと、自分を客観視する能力の高さ。そしてまだプロの世界で勝てていないということに対しても、まったく焦りを見せていなかった。

「僕はマイナスから入るタイプなので......。初回で降板するんじゃないか、ブルペンでの調子が悪かったりしたら大丈夫かなと、いつも不安です。試合ではそういう不安をひとつひとつ潰していきます。だから、普通の調子だったら、それが意外にプラスになったりします(笑)」

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