プロ11年目の再出発。村中恭兵は中継ぎで輝きを取り戻せるか?

  • 町田利衣●文 text by Machida Rie
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 10月に参加したフェニックス・リーグで村中は「打者と勝負できるようになってきた」と復活の兆しをつかみ、新たなシーズンにつなげた。そして今年、ブルペンの一角として一軍のマウンドに戻ってきた。以前から精神面の弱さを指摘されることが多かった左腕だが、現在の自分についてこう言って笑った。

「苦しいことや、いろいろなことがあったので、嫌なこととかきついことに対してあまり気にならなくなりました。開き直って投げられるようになったんです」

 地道な努力で過ごした日々は、プラスに作用し始めている。リードを許した場面での登板から結果を残し、少しずつ信頼を得始めた。任される役割も変わってきた。「やるかやられるかというところで投げるのは投手としてうれしい。そこで抑えられたらすごくうれしい」と投手としての本能も蘇(よみがえ)ってきた。

 10年間ともに歩んだ背番号「15」に別れを告げ、今季から新たに背負うのは「43」。周りから見れば「剥奪」されたとも映るが、左腕にとっては違う。「最初言われたときは正直驚いたが、逆にチャンスかなと思った。生まれ変わるじゃないですけど、1年目という気持ちになれた。背番号が変わったのも良かったと思う」と清々しい表情を浮かべていた。

 今、自分自身で復活の手応えをつかんでいるのだろうか。

「1試合1試合勝負なのでわからない。1年間終わってみてどうかというところです」

 しっかりと前を見据えるその姿は、大きな山を乗り越えて確実に成長したことを物語る。再び歩み始めた村中が、連覇を目指すチームにとって欠かせない存在になりつつある。

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