黒田博樹が若手投手たちにマウンドから贈る「無言のエール」 (3ページ目)

  • 前原淳●文 Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 チームは開幕カードを勝ち越しながら、4月1日まで3勝4敗と乗り切れていなかった。特に救援陣に不安を残し、4敗中2敗が中継ぎ投手によるもので、3試合が逆転負けだった。しかも、ストッパーの中﨑翔太、セットアッパーのジェイ・ジャクソンの2人がチーム最多登板数となるなど、開幕直後から負担が偏ってしまうひずみも生じていた。

 昨季は、登板過多の大瀬良がシーズン終盤に本来の投球ができなかった例もある。

「毎週1回でも、中継ぎが『今日は休めるな』という日があるのとないのとではまったく違う」

 メジャーでは、中継ぎ投手でも登板機会が続けば休養日が与えられる。しかし、日本ではそのシステムが確立しているわけではない。それだけに「1イニングでも長い回を投げたい」と黒田は口にしていた。

 4月2日の巨人戦。この日の黒田は立ち上がりからスプリットとスライダーの切れ味が鋭く、ツーシーム、カットボールも打者の手元で動いた。前回のDeNA戦で打たれた左打者には内角カットボールでえぐった。当たっていた2番の立岡宗一郎、4番のギャレットら左打者を無安打に抑えた。

 8回までスコアボードに0を並べ、球数は108球。「(9回は)1人でも投げようと思った」と、志願して最終回のマウンドに上がった。二死から坂本勇人に内野安打を許したが、続くギャレットをセンターフライに打ち取り、ゲームセット。120球を投げ抜き、日米通算20度目の完封勝利を手にした。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る