3年目の初勝利。ドラフト6位を育成した「二木康太プロジェクト」 (4ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 そして今年、4月12日の楽天戦。ストレートのアベレージは135キロ前後。それでも、スライダー、チェンジアップ、スプリットに、100キロちょっとのスローカーブまで、両サイド低めにきっちりコントロールして、楽天打線を翻弄。7点リードの最終回にボールが高くなり、2本のヒットと犠牲フライで1点を失ったが、堂々のプロ初完投・初勝利。

「二木康太プロジェクト」――以前、彼のプロ入りに関わったスカウトの方から、そんなネーミングで二木を土台からしっかりつくり上げていこうという試みがなされていると聞いたことがある。

 高校時代の大会プログラムを見てみると、当時の二木の体重は72キロ。絵に描いたような“ひょろなが”の投手だったが、今ではエース涌井秀章が小さく見えるほどの雄大なユニフォーム姿となって、一軍のマウンドに上がっている。

 この2年間、球団の期待に応えるべく、懸命に走り、投げ、食べ、トレーニングを積み重ねてきた。二木の努力は当然のことながら、育成プログラムを組み、合理的かつ計画的に選手を育ててきた球団の勝利ともいえる。

 新鋭右腕・二木のプロ初勝利は、そういう意味でもかけがえのない“1勝”になったのではないだろうか。


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