目覚めたスラッガー江越大賀。スケールは高校時代から飛び抜けていた

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 江越を初めて見たのは、その1年前。高校2年の夏の県大会。この時も初戦(佐世保実業戦)だったが、試合前のシートノックから動きが違っていた。センターから叩きつけるような送球は低い軌道で伸び上がり、スピード感に溢れていた。

 しかし、発表されたスタメンは「7番・センター」。2年生とはいえ、ほかの選手とは体つきが違っていたし(当時は181センチ、80キロ)、てっきり中軸を任されているものだと思っていた。さらに、大会プログラムの選手名簿を見ると、投手登録になっている。バッティングへの期待に疑問が浮かび上がったが、とんでもなかった。

 試合に入ると、2打席目にバックスクリーン左に一発。その後の打席でも2本の二塁打を放つなど、強烈な印象を残した。試合後、本人のもとに走ると「背筋は220キロです」と聞き、大いに納得したものだ。このスケールで三拍子揃い、しかも右打者。「プロの素材」と確信した。

 高校通算26本塁打と、スラッガーとしては少ないと思うだろうが、これには理由がある。海星のグラウンドは両翼100メートル、中堅122メートルと、高校のグラウンドにしては相当広い。また、練習試合もさほど多くなく、相手は県外の強豪校がほとんど。ただ、26本塁打中、実際に3本見たが、打球の飛び、強さ、速さは群を抜いていた。

 長崎県の島原半島で生まれ育った江越は、小学2年でソフトボールを始め、中学に進学すると同時に野球部に入った。運動神経のよさは際立っていたが、中学に入学したときの身長は156センチ、最初はセカンドを守っていた。そこから卒業までに180センチ近くまで身長が伸び、最後は「1番・ピッチャー」として活躍。そして名門・海星へと進んだ。

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