大谷翔平も一目置く打撃センス。近藤健介「打てる捕手」への挑戦は続く

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 今シーズン、開幕から苦戦が続くファイターズ。

 故障者が続出し、思うようなオーダーが組めない。開幕前には岡大海が右足首をねんざ、19歳 の浅間大基も左ひざを痛めて、ようやくファームで試合に出始めたところだ。他にも矢野謙次が右ひざ、陽岱鋼が左足首、杉谷拳士が右手首を痛めた。外野を 守れる選手が次々と戦列を離れるなか、近藤は今シーズンもライト、DHでの出場が続いている。しかし、栗山英樹監督は「今年はコンちゃん(近藤)のDHはない。22歳でDH固定なんてあり得ない」と断言していた。近藤もこう言う。

「監督もバッティングで期待してくれていると思うので、キャッチャーをやりながら、という気持ちは常に持っています。僕がキャッチャーをやればDHが空きますし、キャッチャーとしてレギュラーになれれば、リードでも送球でもチームを救えますからね」

 打てるキャッチャーが守備もこなすというのは容易ではない。

 この四半世紀、シーズンで、3割、ホームラン30本を打ったキャッチャーはジャイアンツの阿部慎之助、ホークスの城島健司、スワローズの古田敦也の3人。去年、12球団のキャッチャーで規定打席に達したのはスワローズの中村悠平とライオンズの炭谷銀仁朗の2人だけだったが、打率は揃ってリーグ最下位だ。2003年の話になるが、当時、23歳だった城島健司がこんな話をしてくれたことがある。

「キャッチャーが打つと守りが疎(おろそ)かになるかといったら、必ずしもそうじゃない。だって打てるキャッチャーが名捕手じゃないかと言ったらそんなことはないし、打てないキャッチャーがみんな名捕手かと言ったらそうじゃない。結局、キャッチャーは守れれば打てなくてもいいなんて、打てない人の言い訳なんですよ。キャッチャーが打つことと守ることを両立するのは当たり前なんです」

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