大谷翔平も一目置く打撃センス。近藤健介「打てる捕手」への挑戦は続く (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「去年の開幕3戦目、楽天の入野(貴大)投手のアウトハイの真っすぐを、しっかりヘッドを立てて打てた......札幌ドームのレフトフェンスに直接、当てたんです。 あんな打球は今まで打てませんでした。あのコースはヘッドが下がってしまって、ファウルになりやすいゾーンだったんです。でも、あのときはヘッドを立てたまま、しっかりと振り切れた。逆方向へ、強く打てたんです」

 その感覚が、近藤を覚醒させた。

 昨シーズンは開幕から3割を超える打率をキープし、7月半ばからは5番に定着。DHでの出場が多かったものの、結局、129試合に出場して、パ・リーグ3位となる打率.326をマークした。昨シーズン、同じチームでDHのポジションを争った"バッターの"大谷翔平も、近藤のバッティングについて「ボールへの入り方がいいから低めのボール球を振らされることがない」と、一目置いている。そう伝えると、近藤は笑みを浮かべてこう言った。

「いやいや、すごいのは翔平のほうですよ。飛ばすことにかけてもそうですし、拾う技術や巧さもある。あの柔らかさは見倣いたいと思ってます。しかも去年の後半は、代打で勝負強いバッティングをしてたじゃないですか......それもピッチャーをやりながらですからね。そりゃ、すごいと思いますよ」

 しかし、近藤の目は笑っていない。

「まぁ、僕はピッチャーをやれないんでね......打つことで試合に出てるんで、安定した成績を残すようには心掛けてます。飛距離とか巧さでは翔平にかないませんけど、強いて言うなら、三振しないところでは負けてないかな(笑)」

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