藤川球児が語った「タテジマの誇りとタイガースへの想い」

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito 寺崎敦●取材協力 cooperation by Terasaki Atsushi

中谷 阪神からオファーがあって、復帰しようと決めたとき、覚悟はあった?

藤川 僕の覚悟というのは、野球を続けるかどうかが一番のウエイトでした。家族はまだアメリカにいて、一緒にいたいという思いがありながら、野球を楽しむということを目的で日本に戻ってきた。今、またタイガースに戻ってきたことで、家族を待たせないといけない。家族と離ればなれの生活を続けていることは、正直すごく寂しいです。娘が「仕事をしていないお父さんが家にいるのは困る」とも言われましたけど……(笑)。でも、それが普通の感覚なんですかね。父親というのは背中で見せるのが大事なのかなと。

中谷 阪神ファンは(球児を)持ち望んでいたと思うけど。

藤川 高知にいたとき、自分を見に来てくれたお客さんは多い日で1日3000人ぐらいいました。タクシーに乗ったときも運転手さんに「(阪神に)戻ってきてくれよ~」と言われたこともありました。でも、その人たちに対して、当時の僕は何も言えなかった。戻りたい気持ちもありましたが、NPBであればどこのチームでもいいと思っていましたから。必要とされるのであれば、どこでもいいと。おかげさまで今回、金本(知憲)監督をはじめ、タイガースからオファーをいただいた。それはすごくうれしかったですし、なによりあのときにはっきりと答えられなかったファンやタクシーの運転手さんの思いを現実のものにできたことの喜びはあります。ただ、家族に対してはまた待たせてしまって申し訳ないな、と。でもそれがある分、頑張ろうと思います。

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