栗山監督が語る「打倒ソフトバンクで噴き出すマグマと大谷翔平」 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 ピッチャーとしての翔平?

 それはもう、大事な試合で負けない姿を見せてほしい。これに尽きるかな。期待するのは、去年のプレミア12で 見せてくれた、韓国戦の翔平だよね。一番大事な試合で、圧倒的な存在感を見せる……彼はどちらかというとそれが苦手なタイプだと思われていたんだけど、でも、それは精神的なものが理由なんじゃなくて、技術が伴っていなかっただけだと思うんだ。高校時代もそう、プロになってからもそう。精神的に弱いから大事な試合で勝てないんじゃなくて、いざというときにキッチリ投げ切れるだけのコントロールがないから、勝てなかっただけの話。そういう技術がようやく伴い始めたのが今の翔平だから、今年は、ピッチャーとしてはあの1年が分岐点になったな、と言われるようなシーズンになるはずだと思ってる。

 開幕投手については、アリゾナでキャンプをしている間に伝えたかったんだけど、あまり早く伝えると本人にもプレッシャーになるし、どうしようかなと思っていたんだ。そうしたら、誰かがポロッと言ったんだよね。2月6日はベーブ・ルースの誕生日じゃないかって……今年に関しては、翔平が開幕投手だって、僕も、翔平も、周りのみんなもそう思っていたと思うし、だったら伝えることに意味を持たせるよりも、伝えた日をきっかけとして翔平に何かを覚悟させる時間にしなきゃみたいな、そういう感じだったんだよね。だから去年は長嶋茂雄で、今年はベーブ・ルースだった。翔平というのは、それだけのものを背負っていかなくちゃいけない存在なんだよ。


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