栗山監督が語る「打倒ソフトバンクで噴き出すマグマと大谷翔平」 (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 バッターとしての翔平はだいぶいいよ。

 去年は初めての開幕投手だったし、それを伝えてからは本当にピッチャーに集中し過ぎるくらい、集中していたからね。そんな中、バッターとしての準備が後回しになってしまったのはしょうがなかった。その分、今年はバッターとして立ち遅れないように追い込んで、きちんと準備をさせてきたつもり。だから、今年は10試合、バットで勝たせてもらいたい。そうすれば、シーズンの結果も全然、違ったものになるでしょ。みんなはバッターとしての試合数とか打席数をもっと多くするべきだって言うんだけど、そんなに極端に打席数を増やさなくても、確率を上げてくれれば済む話なんだよ。去年、2本だったホームランが20本になれば、アイツのバットで10試合勝てる。このことは去年のシーズンが終わってすぐ、翔平に伝えたし、バッターとしてこんなんじゃ、二刀流は終わっちゃうからねってことは、翔平もよくわかってる。

 実際、今年のバッティングは去年とはまったく違うよ。打ち方も違うし、プロの世界でヒットになるような打ち方を練習から工夫しているように見える。翔平のようなタイプのバッターは、練習で気持ちよく引っ張って、ホームランを何本も打つなんてことは必要ない。練習で綺麗な打ち方をして、ただ遠くに飛ばせばいいというものじゃないんだ。どうしたら結果が残るのかという試合に即した打ち方を、練習から追い求めなければ意味がない。翔平のバッティングのいいところは、ボールを体の近くまで呼び込んで逆方向へ大きな当たりを打てること。今年の彼はそこを思い出して、練習に取り組んでいる感じがする。それは今の翔平の 一番の成長を感じるところかな。

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