広島の「赤魔神」中﨑翔太、強いメンタルを生む超マイペース生活 (2ページ目)

  • 寺崎敦●文 text by Atsushi Terasaki
  • photo by Kyodo News

── 当時、プロの投手で憧れている人はいましたか?

「中日の川上憲伸さん、ソフトバンクの斉藤和巳さんは凄かったですね。もちろん、広島の黒田(博樹)さんもそうだし、他にも巨人の上原(浩治)さんなど、いわゆる"球界のエース"と呼ばれている人すべてが憧れでした」

── では、その球界エースたちを目標にしてきたのですね。

「いえ、それはちょっと違って、プロ野球選手の人たちはあくまでも憧れにすぎません。実際に目標にしていたのは、僕には兄がいるんですけど、(中﨑雄太・西武・09年ドラフト1位入団)その兄の背中をずっと追いかけていましたね。年は2つ違うんですけど、小中高とずっと同じチームにいましたから」

── 子どもの頃だけでなく、その後もずっとお兄さんが目標だったのですか?

「そうですね。兄がいて、いつも比較されてちょっと嫌な気持ちとかあったりして、兄を追い越してやろうという思いがありました」

── 中﨑さんは、クローザーとして結果を出し始めてから、とくにマウンドでとても落ち着いているように見えます。毎回ヒヤヒヤする緊迫した場面で登板するわけですが、ピンチに動じないための心得みたいなものは?

「ひとつは意識がはっきりしているということが大事ですね。ピンチで登板して、慌てて頭が真っ白だったら、今は何投げたとか、その前は何投げたという配球がバラバラになったりして、それじゃダメですから。僕の場合はしっかりと状況を確認して、次に何が起きたらどうプレーしようというのをしっかり考えようとは思っています」

── そうは言っても、平常心を保つのはなかなか難しいことだと思います。

「そうですね。1-0や同点でランナーが三塁や二塁にいたら不安な気持ちにもなりますけど、でも僕の場合、そこで打たれたら仕方ないやみたいな。そこにいるのは自分しかいない、そこで投げるのは自分しかいないんでやるしかないという気持ちになります」

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