プロ20年目、41歳の黒田博樹が新たに覚える「打ちづらい球」

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 西武戦の3回無死二塁の場面で、打席には浅村栄斗。追い込んでからの5球目は、インコース膝元の厳しいコースからストライクゾーンに曲がった。4球目までに2球投じたツーシームの残像があったのか、浅村はバットが出なかった。

「ああいう投球ができれば幅が広がる。打者の感覚が変わってくればいい」

 数字だけを見れば周囲が不安に感じるような内容も、黒田にとっては収穫の多い、上々の試運転となった。

 被打率が高かった左打者だけでなく、右打者のケアも忘れない。さらに、昨シーズンから取り組んでいるカーブの精度も格段に上がっており、使用頻度は上がるかもしれない。新たな挑戦の積み重ねは年輪となり、黒田博樹という投手をつくり上げている。

 幸いにも西武戦で打球を受けた左足は軽症で済んだ。一夜明けた7日は通常通り、登板翌日のルーティンをこなした。「これくらいでダメだったら、野球をやっていられない。芯を食った打球でもないし、投手をやっていれば日常茶飯事」と頼もしい限り。次回登板への影響はなく、予定通り2度の調整登板を経てシーズンを迎えることになるだろう。通算200勝がかかるプロ20年目の今季、また新たな黒田博樹に出会えそうだ。

●プロ野球 記事一覧>


3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る