阪神・西岡剛の自信「僕が試合に出ることが最大の補強になる」 (3ページ目)

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 戦意を失いかけていた西岡を立ち直らせてくれたのは、知人から紹介された秀島正芳トレーナーだった。「絶対に復活させる!」と意気込む同氏に、最初は「やけに熱い人やな」としか感じず指導を断ったが、話をするうちに信じてみようと思えるようになり、タッグを組むことに。以来、スピードとキレを取り戻すため、二人三脚で厳しいトレーニングを重ねてきた。「自分の力を信じている」と言えるのは、体がほぼ万全で、ケガさえなければやれる、という手応えを感じているからだ。

「この2年間は不調で成績が出なかったわけじゃないから。ケガで成績が出なかっただけ。1年間試合に出れば、それなりの成績を残せる自信はあります」

 なるほど、「いい顔」になるわけだ。

 もうひとり、西岡を奮い立たせてくれたのは金本知憲新監督である。13年から阪神の一員となった西岡と、前年限りで現役を引退した監督は一緒にプレーしたことがない。外から見ていた印象は「厳しくて、怖くて、口数が少なくて、野球だけをストイックにしている方」だったが、実際に接してみると、「非常によく周りを見ている方。特に年下に気を使って言葉を交わしてくれる」と見方が変わった。

 キャンプ中はまるで“お笑いコンビ”のようなやり取りでファンを楽しませてくれた。西岡の特守の時間に合わせてサブグラウンドに足を運んだ監督が、「やればできる子! やっていないだけ!」とゲキを飛ばし、報道陣に対して「手抜きの神様やからね。頑張っているポーズは素晴らしいし、日本一」と言えば、伝え聞いた西岡は「僕がウエイト、バッティング、ダッシュ、特守をしているとき、絶対に監督がいる。常に監視されています」と苦笑い。

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