タオルを振る京大プロ投手「田中英祐よ、もっと無責任にやれ!」 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

「なんでこうなったかはわかっているし、戻るはずなので。またそういう状態で(一軍に)上がったら、今度はちゃんと勝負ができるんじゃないかと思っています」

 小谷コーチはそんな田中に対して、珍妙なエールを送っている。

「もっと無責任になって投げればいいんだよ。ブルペンではいいボールが行くようになってきたんだけど、1球ヘンなボールが行くと、それを引きずってしまって、力みや焦りにつながってしまう。だから、もっと無責任にやればいいんだと」

 投手は繊細な生き物だ。田中に限らず、環境や肉体の変化に感覚がついていかず、それまでのフォームを見失ってしまうケースは多い。そして思考力がある選手ほど、考えすぎるあまり悪循環に陥ってしまうこともある。だからこそ、小谷コーチはあえて「無責任にやれ」と言うのだろう。

 再びあの大観衆の前で投げるために。田中の雌伏(しふく)の時は続いていく。

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