気迫が違う。ベイスターズ投手陣を改革する熱血漢・木塚コーチの魂 (2ページ目)

  • 山口愛愛●文・写真 text&photo by Yamaguchi Aiai

 それぞれが投げ終えると、その場で木塚コーチがメモを見ながら、手ぶりを交えて熱心に語りかけ、選手たちは真剣な表情で首を縦に振る。十数年、宜野湾キャンプを見ているが、これほど細かい想定に基づいたピッチング練習をし、コーチと選手が密にコミュニケーションを取っていたことがあっただろうか。キャンプ4クール目のDeNAブルペンは実に活気に満ち溢れていた。木塚コーチが言う。

「プルペンでどういう思いで投げるのか。今日は150球投げ込みます、なんていうのは答えではない。このボールをなんで使うのか、どこで使うのか、どういうイメージでどう結果を出すのか。ブルペンでの1球、1球のイメージと意識。それによって、試合で心臓がバクバクした状態のときに、できるか、できないかが変わってくるんですよ」

 木塚コーチは、ラミレス監督がDeNA選手時代にファームで過ごした最後の年の二軍投手コーチだった。そのときからラミレス監督が、木塚の人望と指導力に魅せられ、熱烈なラブコールが実って、就任に至った。昨年のチーム防御率がリーグワーストの3.80であるDeNAにとって、投手陣の再建は急務である。

 自主トレ期間に、投手兼任コーチの三浦大輔に投手陣の課題を問うと、若手のスタミナとメンタル面を懸念していた。

「みんなプルペンではすごい球を投げます。なんであの球で勝てないのか、もったいない。勝負どころでの気持ちの持ち方が良い方向に出れば」

 高い能力がありながら試合で発揮しきれない投手たちにもどかしさを感じていた。内角攻めを重視するラミレス野球の中で、メンタルの強さは不可欠だ。その強化が最大のポイントともいえる。

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