ロッテ成田、楽天・森ほか。キャンプのブルペンで見た「凄い球」 (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

「ブルペンではリリースポイントは崩れないし、まとめるのが上手。縦のスライダーは松井(裕樹/楽天)ほどじゃないにしても、追い込まれたらバッターは手を出すボール。いい感覚は持っているよ。それを実戦でも投げられるかどうか。でも、まだ子どもだから、いつバタッとくるかわからないからね。みなさんは『すぐ通用するか』を知りたいと思うんだけど、ゲームセンスは見てみないとわからないからね」

 あくまで見極めている段階ということを強調していた小谷コーチ。一段一段、課題をクリアしていければ、その先に一軍昇格が待っているはずだ。

 もし「ブルペン投球」という競技があれば、今回取り上げた投手たちはみなスター選手になれるだろう。だが、もちろん野球は対戦相手あってのスポーツ。投手は実戦で投げて、抑えられるかで存在価値が決まってくる。

 昨年70歳になった小谷コーチは「今まで何十年と“ブルペンエース”を見てきたよ」という。ブルペンでは素晴らしいボールを投げていても、実戦になればからっきし。そんなブルペンエースが、これまで何人も球史に埋もれていった。実際のエースとブルペンエースとを分ける分水嶺は何なのだろうか。小谷コーチに聞いた。

「結局、ゲームで慣れさせるしかないよね。ブルペンで良かったらシートバッティング、シートバッティングで良かったら紅白戦、紅白戦で良かったらオープン戦……。いい選手はクリアしていくんだよ。1ヶ所でもつまずいたら、再トライしていくしかない。でも、同じ選手に何度もチャンスを与えることはできないからね」

 限られたチャンスを生かした者だけが、一軍で自分の地位を固めていく。果たして今年は誰がそのチャンスをつかむことができるだろうか。

プロ野球記事一覧>

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る