ロッテ成田、楽天・森ほか。キャンプのブルペンで見た「凄い球」 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

「まず、真っすぐを自信もってストライクゾーンに投げられるかどうか。その兆しは出てきました。あと、彼のように力投するタイプのピッチャーは、体を大きく振って投げることで満足感を得てしまう場合があります。でも実際は体を振って力感を出した気になっているだけで、ボールに力がないことが多い。いかに体を振らずに、力感を出せるか。この技術が身につけば、体が疲れてきてもいいボールが投げられるはずです」

 最後に、ロッテキャンプで光っていた逸材を紹介したい。石垣島でキャンプを張るロッテは、一軍と二軍のブルペンが併設されている。一軍投手陣のブルペンを見ていると、奥の二軍ブルペンで一際キレのあるボールを放っている左腕が目についた。

 近づいて見てみると、その左腕は身長が170センチあるかないかの体型で、しかも高卒ルーキーということがわかった。昨夏の甲子園で大活躍した秋田商高のエース・成田翔(なりた・かける)だった。

 リリースでしっかりと指に掛かって、ボールに力を伝えられるフォーム。高めも低めも手元で伸びてくるストレートに、タテに強烈に落ちるスライダー。ブルペンだけを見れば、多少のアラには目をつぶって一軍で見たくなるようなボールを投げていた。

 成田は高卒ルーキーらしく「みんな自分よりいい選手なので、全選手にビックリしています」と謙虚に語るが、一軍への距離は本人が思っているよりも近いのかもしれない。

 そんな成田を間近で見守っているのが、大洋(横浜)、ヤクルト、巨人で40年近く投手コーチを務めてきたベテラン指導者・小谷正勝(こたに・ただかつ)投手コーチだ。

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