10年目のレギュラー獲りへ、中日・堂上直倫は、ついに目覚めるか (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 堂上のティー打撃を見ていると、両足を大きく開いた状態で、右ヒザにある重心を左ヒザに移しながらスイングする練習を繰り返していた。これも昨秋から取り組んでいる練習法で「自分に合っている」という。

「今までは上体で打っていて、下半身を使えていなかったのですが、去年の秋季キャンプからいろんな方に下半身の使い方を教えてもらって、その取り組んでいたことができるようになってきました。ボールを手元まで長く見られるようになって、センターからライト方向にもしっかり打てているので、これを続けていきたいと思います」

 プロ9年間の通算打率は.220。昨季は守備固めでの起用がほとんどだったが、「守備の人」に収まるつもりは毛頭ない。狙うはもちろん、レギュラー。だが、堂上の口からは威勢のいい言葉は出てこない。

「結果を残していくしかないので……結果を求めて、やっていきます」

 堂上はこれまで何度もトッププロスペクト(有望株)として「決意表明」をする場を設けられ、そのたびにファンからの大きな期待を受け、結果的に裏切ってきた。だが、そんな堂上に最も失望していたのは、ほかならぬ堂上自身だったに違いない。それでも、プロとして嘆いている時間はなかった。だからこそ、堂上は9年間を「短かった」と感じているのだろう。

 エルナンデス、遠藤、そして今季は社会人のHondaから26歳の即戦力ルーキー・阿部寿樹も加わった中日の遊撃陣。その熾烈なレギュラー争いのダークホースとして、かつて一番人気を誇ったサラブレッドが今、泥にまみれている。

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