10年目のレギュラー獲りへ、中日・堂上直倫は、ついに目覚めるか (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「ここまでの9年間は、短かった。すぐに過ぎていった感じです」

 今季でプロ10年目を迎える堂上は、表情を変えることなく静かに9年間を回顧した。

 入団時に「24」だった背番号はプロ2年目に「1」となり、そして今、堂上の背中にある番号は「63」。かつて兄・剛裕が長らくつけていた番号だ。

 堂上本人が「背番号は別に気にしていないんですけどね」と言うように、番号で野球をやるわけではない。だが、落合博満GMの監督時代から、中日の背番号には「信賞必罰」の意味合いが濃くなってきた。「63」は自らが希望してつけた番号とはいえ、この重くなった数字が意味することは、堂上ももちろん理解している。

「毎日、悔いのないようにやりきって終われるように。それだけを考えてやっています」

 北谷でキャンプを送る堂上を見て、変化を感じたことが2つある。その1つは「体つき」。今までよりも厚みを増したように見えたのだ。

「そうですね、ウエイト(トレーニング)をずっとやってきているので、去年で体重がだいぶ増えました」

 選手名鑑では「82キロ」と記載されている堂上の体重だが、実際には88キロまで増えている。ただいたずらに体を大きくしているわけではなく、キャンプでの動きを見る限りでは俊敏に動ける範囲でボリュームアップしていることがうかがえた。

 そしてもうひとつの変化は、打撃面だ。下半身に粘りが出て、センターからライト方向に強く弾き返す打球が増えてきた。そのことを堂上に尋ねると、思いがけない言葉が返ってきた。

「今まで下半身の使い方を知らなかったので......」

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