「疲れるとセカンドゴロ」の克服へ。日本ハム・中島卓也の肉体改造 (2ページ目)

  • 田澤健一郎●文 text by Tazawa Kenichiro
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 今や侍ジャパンに選出されるまでになった中島だが、一軍の試合に出場し始めた2011年頃は体の線が細く、特にバッティングは非力さばかりが目立っていた。屈強な肉体の一軍選手のなかに入ると、まるで高校生がひとり混じっているようにも見えた。

 しかし、その打撃も昨年は打率.269をマーク。デビュー当時を考えれば大きな成長といえる数字である。その背景には、前述した粘りのスタイルがあるのは確かだが、同時に地道なフィジカル強化の影響も見逃せない。

 昨秋、中島とフィジカルトレーニングについて話す機会があった。プロ入りした当初の中島は、ウエイトトレーニングにあまり熱心ではなかったという。

「最初はどうしても気乗りがしなかったというか、きっかけがなくて......。ウエイトをするよりも打撃や守備など、野球の練習がしたかった」

 そんな中島に転機が訪れたのは、入団2年目のことだった。

「(田中)賢介さんと自主トレを一緒にさせていただいて、ウエイトの大事さを教えてもらったんです。筋肉をつけることでスピードが落ちるんではないかと心配していたんですが、賢介さんが『そんなことはない。トレーナーとしっかり考えながらすれば大丈夫』と言ってくれたのでやり始めました」

 よくルーキー、特に高卒の新人は「まずはプロの体、体力づくりから」と言われるが、正直「プロの体」とはなんなのかはよくわからない。プロ入り当初、チームでも1、2を争うぐらい華奢(きゃしゃ)だった中島の体づくりの過程は、その一端を教えてくれるものだった。

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