パドレスのインターンで見習い中。斎藤隆が目指す「野球人の仕事」 (3ページ目)

  • 田澤健一郎●文 text by Tazawa Kenichiro
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 1年間、サンディエゴに住み、編成業務のほかパドレスの日本向けプロモーションなどにも携わる。キャンプのサポートもその一環。現在は主に選手のスカウティングを学ぶ日々だという。

「編成、チーム作りはまずそこから、とAJ(プレラーGM)が言うんです。確かに多くの球団GMはスカウトからキャリアをスタートしていますしね。アメリカらしいなと思います」

サンディエゴ・パドレスの球団スタッフに転身した斎藤隆氏(photo by Tazawa Kenichiro)サンディエゴ・パドレスの球団スタッフに転身した斎藤隆氏(photo by Tazawa Kenichiro)

 自チームの選手はもちろん、他球団の選手のプロフィールも調べ、膨大な量のデータにも目を通し整理する。昨年12月にはウインターミーティングにも参加した。ただ、苦労しているのが言葉の問題。

「野球の言葉はわかるんですが、今の球界のデータは野球というよりも数学や統計学の世界ですからね(笑)。それに深いコミュニケーションとなると、難しい部分も多くて」

「通訳は置けないのか?」と訊くと「置けないんです。なぜならスカウティングや編成は球団のトップシークレットだから。情報は限られた人にしか触れさせないんです」

 思わぬところで痛感した編成の重み。他にも編成の現場は新鮮なことばかりだった。

「ウインターミーティングの前に球団の会議が行なわれるんです。全選手のデータがバーッと広げられて、AJとマイナーのGMやスカウトなど6人くらいで選手の評価を話し合う。AJは200人を超えるウチの選手を細かく完全に把握していて、そのうえで選手ひとりひとりの評価をスタッフ全員に聞き、編成を検討している。当たり前といえば当たり前なんですが、コツコツ評価していく姿はプロだな、と感じました。具体的には話せませんが、評価への質問のしかたも参考になるんですよ」

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