「おりゃー」と場外弾。最強の外野陣に挑むソフトバンク上林誠知 (3ページ目)

  • 古江美奈子●文 text by Furue Minako
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 走塁練習をやや距離のある場所から眺めていたときのこと。上着やサングラスを着用する野手の中で上林が見当たらない。近づいて見ると、先頭に立って走っているのが上林だった。去年のイメージのまま探していると見つからないほど、体が大きくなっていたのだ。公式発表は81キロだったが、現在は84キロ程度。数字以上にたくましくなった印象を受ける。食事にも気をつけるようになり、三食とは別に間食して多く食べるよう意識しているという。

 藤井康雄打撃コーチは昨季からの進化について「体が大きくなった。力が増してバッティングにもいい影響を与えている」と評価する。また「二軍でタイトルも獲ったし、オフにはウインターリーグにも行ったし、自信につながっているのではないかな」と語る。

 3年目のシーズンが始まろうとしている。

「今年の目標は打率3割です。それは一・二・三軍どこでも同じ。昨季は“なんちゃって3割(.318)”を打ちましたけど、打席数(45打席)が少なかったので……今季はもっと増やして、その上で頑張ります」

 ただ、ソフトバンクの外野手争いは熾烈だ。昨年トリプルスリーを達成した柳田悠岐。ケガからの完全復活を目指す長谷川。3年連続3割の中村晃。俊足の福田秀平などが名を連ねる。さらに、球界を代表する好打者・内川聖一もいる。

「日本一競争の厳しいチームにいるけど、周りを気にし過ぎずにやっていきます。アピールするしかないですからね。充実していますよ」

 そう話す上林の表情はじつに生き生きとし、自信にあふれていた。3年目の春、さらなる進化を遂げようとしている。

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