「おりゃー」と場外弾。最強の外野陣に挑むソフトバンク上林誠知 (2ページ目)
尊敬する先輩・内川と練習だけでなく寝食をともにする自主トレは、学ぶことが山ほどある。打撃についても助言をもらった。
「打つときに手首を返す癖があって、ドライブ回転になってしまうんです。だから、バットとボールの接地時間を長くするよう、スイングのときに"前を大きくする"イメージで打っています」
自主トレでは手応えを感じていたが、いざキャンプで打撃投手を相手に打つと、感覚のズレが生じた。速い球への対応ができていない。しかし、「いろいろ試しながらできるのはいいことです。実戦になってくるとまた違うと思うし、経験してみないとわからないこともある」。そう前向きに捉え、バットを振り続ける。
この春季キャンプのテーマは「人より練習すること」。第1クールでは宣言通り、その姿は最後までグラウンドにあった。全体練習が終わった後に、打撃コーチとともに居残りでフリー打撃を行なう。「おりゃー」と声を上げながら、スタンドへと打球を運ぶ。時おり体勢を崩して「あぁ......」と漏らしながらも、打球はスタンドへ吸い込まれていく。さらに場外弾も連発。大きくきれいな放物線を眺めながら、大道典良打撃コーチから「一軍の打球になってきたな。掴んだんとちゃうか」と拍手をもらう場面もあった。
気温は下がり、薄暗くなった球場に快音が響く。連日、ホテルへ帰るのは最終となる18時半発のバスだ。
「(A組では)一番若いですしね。バッティングやトレーニングなど、特別なことをするわけじゃないけど、他の選手より多くやらないと同じだけやっていても差は埋まりませんから」
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