阿部慎之助の「捕手復帰」で巨人がもくろむ、これだけの好影響 (3ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 だが、高橋由伸監督は就任当初から「慎之助のキャッチャーは頭にある」と、阿部の捕手としての起用を考え、悩んできた。体調の不安はつきまとうが、チームに及ぼす好影響を考え、阿部に捕手復帰を打診していた。そして年が明けてから、「キャッチャーでいきます」と阿部は指揮官に連絡を入れた。

 阿部の守備位置に関して、選択肢としては3つあった。

① 捕手に専念する
② 一塁に軸足を置きながら数試合に一度、捕手として先発をする。または、試合の終盤に“抑え捕手”として出場する
③ 一塁に専念する

 コンディションを考えれば、②が現実的な起用法だった。しかし、高橋監督は①を選び、「(2012年から)リーグを3連覇した強い巨人の象徴。チームを引っ張っていってもらえれば」と大きな期待を寄せる。

 阿部が捕手に専念することで、いろいろなメリットが生まれる。まず、その豊富な経験、リーダーシップから投手陣の信頼は厚く、守備面で存在感が大きい。もちろん、その打力も魅力。正捕手候補だった小林誠司と比べれば、その差は歴然だ。

 また、オーダーの組み方も増える。たとえば、外野手の新外国人ギャレット・ジョーンズを一塁に回せば、立岡宗一郎、亀井善行、橋本到、新人の重信慎之介ら多彩な顔触れが並ぶ外野陣をより効果的に起用できる。

 さらに、三塁の定位置を争う村田修一と岡本和真は一塁を守ることができ、どちらかを一塁で使えば、ふたりの打力を生かすことも可能になる。高橋監督も阿部が捕手に専念することで、「チームのバリエーションが増える」とメリットを挙げた。

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