阿部慎之助の「捕手復帰」で巨人がもくろむ、これだけの好影響 (2ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 だが今年はグアムでもあえてひとりで練習を行ない、坂本や長野らと行動をともにすることはなかった。さらに、温暖のグアムから帰国後は「寒さに慣れるため」に一足先に宮崎入りした。

「こういうシーズンがあってもいいと思う。若い選手に触発されて、これまではハイペースでやってきたけど、去年のことを反省して、今年はこういう感じでやってみようと思っていた」

 現役の選手は誰も同行せず、練習パートナーは裏方のみ。自らの感覚に合わせ、練習メニューを進めてきた。バットを握り、ボールを打ったのは1月21日に宮崎でティー打撃をしたのが初めて。キャリア初の試みに不安はつきまとうが、本人の決意は揺るがない。

「自分で決めたこと。どんな結果が出たとしても、悔いはない。ケガなく1年間、戦える心と体を磨ければいい」

 すべては1年を通して、試合に出場し続けるためだ。視線は開幕、そして勝負どころの夏場以降に向けられている。技術練習は、キャンプイン後、徐々に強度を上げていく考えだ。

 今季、阿部の注目点のひとつが守備位置だった。昨年は体への負担を考え、原辰徳前監督が一塁にコンバートした。ただ、開幕後に相川亮二の故障にともない、すぐに捕手に復帰。しかし、交流戦中に今度は阿部が古傷の首を痛めて離脱し、復帰後は再び一塁で出場を続けた。「ルーティンをつくり上げることができた。試合に入る準備を(シーズン終盤に)やっとつかめた」と一塁手として試合に出ることに自信を深めた。

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