【12球団分析・中日編】新4番・ビシエドは本当に打ちまくるのか (2ページ目)

  • 石井祥一●文 text by Ishii Shoichi
  • photo by Getty Images

 首脳陣がビシエドを打線の核として期待している理由は、強かった頃の中日には「不動の4番」がいたという事実があるからだ。タイロン・ウッズ、トニ・ブランコがまさにそれで、彼らの前にランナーをため、そして還すといった明確な得点パターンが存在した。相手投手が4番との対戦に神経をすり減らすため、さらに後続の打者も続いて、ビッグイニングをつくることも多かった。

 昨年まで在籍したエクトル・ルナも2013年には首位打者争いをするなど好打者だったが、アベレージヒッタータイプで長打力に乏しかった。安定した成績を残すルナを放出してまでビシエドを獲った背景には"一発の脅威"がある。以前、谷繁監督はこんなことを言っていた。

「試合の流れの中で、やっぱり怖いのはホームラン。それまで完璧にゲームを支配していても、たった一発で流れが変わってしまう。一発を打てる選手がいるチームは脅威です」

 これまでの中日を見ると、投手力を中心とした「守りの野球」の印象が強い。だが、それを実践できたのも打線の援護があってこそで、ロースコアの試合が続けば投手の疲労も蓄積してしまうものだ。ビシエドが打線の核となれば、平田や大島へのマークも薄くなるだろうし、若手も思い切ったプレーができるようになるだろう。

 とはいえ、「打撃のチーム」に変えるつもりはない。あくまで谷繁監督の頭にあるのは、バッテリーを中心とした「守りの野球」だ。

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