プロ野球「パ強セ弱」の原因は高卒ルーキーの起用法にあった (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Tomohiro Motonaga
  • photo by Jiji photo

―― 息苦しいチームは勝てないわけですね。

小関 北海道日本ハムファイターズが長期的な視野でチームをつくっていることはよく知られています。主力だった新庄剛志や小笠原道大が抜けても、大エースのダルビッシュ有がいなくなっても、まったく動じませんでした。近いうちに大谷翔平がメジャーリーグに行くことは、当然想定しているはずです。

高卒選手にチャンスを与えれば化ける

―― セ・リーグとパ・リーグでは、新人育成に関して何が違うのでしょうか。

小関 パ・リーグのチームは、高校から即プロに入った選手に積極的にチャンスを与えます。2015年は、西武のルーキーの高橋光成が5勝2敗、防御率3.07という成績を残しました。2年目の森友哉も138試合に出場して打率.287、17本塁打、68打点を記録しましたね。以前と比べて、高校野球のレベルが格段に上がっていますから、チャンスを与えさえすれば活躍する選手はいます。パ・リーグが高卒ルーキーを積極的に起用するようになったのは、松坂大輔の存在が大きかった。

―― 横浜高校を卒業した松坂はルーキーイヤーの1999年に16勝を挙げ、2002年を除いて06年まで2ケタ勝利を続けました。その後、プロ1年目のダルビッシュが5勝(05年)、田中将大が11勝(07年)、唐川侑己が5勝(08年)を挙げています。セで目立つのは、藤浪晋太郎が10勝(13年)したくらいです。

小関 昔は「在京セ」を希望するアマチュアがかなりいましたが、10年くらい前からそんなことを言う選手はほとんどいません。観客動員も待遇もリーグ間の格差がなくなり、若いうちにチャンスを与えてくれるパ・リーグを希望する選手が増えました。FA権を行使することを考えれば、早いうちにレギュラーをつかんだほうがいいですから。

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