ソフトバンク高橋純平の5年後は...田中将大になっている!? (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 そして高橋には、ストレートを両サイドにピシャリと決めるコントロールがある。さらに、高橋の"実戦力"の高さを裏付けるものとして、数字を追いかけない精神年齢の高さが挙げられる。

 投手の仕事は、打者のタイミングを外すこと。本格派と称される投手の場合、どうしても捕手寄りのゾーンで打者を詰まらせることに意識がいくのだが、高橋の場合は、投手寄りのゾーンで微妙に打者のタイミングを外している。また、打者に悟られないようにボールを動かして打ち取ることに興味を持ち始めていることも頼もしい。

 空振りを奪えるストレートもあれば、動くストレート、つまり"ムービングファストボール"もあり、高橋自身がそれを操る面白みを感じている。仮に、高校時の数少ない課題であった立ち上がりの変化球のコントロールのもろさがプロで顔を出したとしても、見えない変化球でバットの芯を外してアウトを重ね、しのいでいける。

「自分、チェンジアップの握りでも140キロ前後のストレートを投げられるんです」

 ストレートと変化球に"境界"を作らない感覚。ストレートに無限のバリエーションを増やせる技術。見た感じは"剛腕"でありながら、実は極めて精緻な工夫とテクニックを凝らしたピッチングができる。投球という"技術"を自分の感性で工夫し、試行し、自分流に構築できるセンス。そのスタイルはまさに田中将大だ。

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