今江敏晃「楽天に行ってもロッテのガムは噛み続けます」 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

「震災が起きたとき、僕は埼玉にいたんですけど、関東にいてあの衝撃でしたから……。ひとりの人間として、あの日の東北の光景は忘れられないし、忘れちゃいけないと思っています。東北という地に何かできることはないかと常に思っていましたし、今回の楽天への移籍というのも、何か縁がつながっているのかなと感じます」

 これから迎える2016年、今江に求められる役割は、2015年のチーム打率.241(リーグ最低)に終わった打線の底上げになる。

 しかし、これまで年間打率3割以上を4度も記録している今江だが、一方で2割5分前後の低打率に終わる年も多々ある。このムラの激しさがアベレージヒッターとしての今江の評価を落としている感は否めない。今江にその原因について聞くと、「それが見えていたら、こんなことは起きていないですよ」と笑いながらも、自己分析をしてくれた。

「自分で言うのもなんですけど、良くも悪くも器用なのが問題なんだと思います。たとえば1試合のなかで4打席あったら、そのときのピッチャーに応じて打ち方を変えますし、それで対応できてしまうので、ガチッとした自分の形というものがつくれない。バットもシーズン中に何種類も使いますし、ひとつのことを貫こうというのは僕には無理だと思うんですよ。和田さん(一浩/元中日)やガッツさん(小笠原道大/元中日)みたいに常に同じ打ち方ができればいいんですけど、僕にはそれができない。そこは僕の長所でもあり、短所でもあると思います」

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