石井一久氏に問う。「ヤクルトがソフトバンクを打ち負かす方法」 (2ページ目)

  • 島村誠也●取材・文text by Shimamura Seiya  山本雷太●写真 photo by Yamamoto Raita

――その実力差が、今年の日本シリーズでも出たのでしょうか。ソフトバンクがヤクルトを4勝1敗と圧倒しました。

「ソフトバンクは完成されたチームでしたよね。柳田悠岐が打てなくても、違う選手がフォローできる。レギュラー陣の層の厚さ、控えの層の厚さもあった。ヤクルトは投手陣が弱いことで、ソフトバンクと比較すれば勝利のバリエーションが少なかった。完封できる投手がいなかったし、8回まで投げて、クローザーに直に渡せるピッチャーもいませんでした。ヤクルトは、何とか粘って後ろの3人で勝つ以外のバリエーションがなく、短期決戦という部分ではソフトバンクに劣っていました」

――ヤクルトの先発投手陣は、シリーズで誰一人として5回を投げきることができませんでした。立ち上がりを慎重にいくあまり、2回までに50球以上を要する試合がほとんどでした。

「あの日本シリーズに関しては、ああいう形にいかざるを得ないですよね。ソフトバンク相手にストライクをポンポン投げて成功するような投手のタイプはいませんでしたから。球数使って、5回、6回を0点に抑えて、後ろにつなぐしかなかった。僕自身、ヤクルトは球数を使ってでも慎重にいかなければならないと思ってましたので、バッテリーの作戦としては間違ってなかったと思います。結果的にソフトバンク打線がすごかったということです」

――セがこの劣勢を変えるには、パワーをつけるべきなのか、それとも、セ・リーグの特長である緻密な野球にもっと磨きをかけるべきなのでしょうか?

「(セ・リーグのチームは)パ・リーグに勝つために野球はやってないので(笑)。セの投手は慎重な入り方をするし、パの投手は積極的にアプローチしていく。僕はそれぞれのリーグの野球があったほうがいいと思いますけどね」

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