山本昌が盟友・山﨑武司に語った「引退後の不安」 (2ページ目)

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • 小内慎司●写真 photo by Kouchi Shinji

山﨑 それで引退を発表して、これで少しは楽になるだろうな、と思ったら「引退試合までは練習する」ってワケのわからんこと言い出して(笑)。それでも、気持ちは折れていたんですよね?

山本 うん。多少はね。でもね、2013年にジャイが引退した時の"辞め様"というのは参考になったかもしれないね。こっちから見ても、「まだできるだろうな」って余力を感じさせる中で早い時期に発表して、僕も辞める時はジャイぐらいの辞め方かなって思っていたから。

山﨑 悔いというのは、現役を長くやればやるほど残るものなんですよ。やればやるほど、自分の頭でイメージができていきますからね。だから山本さんの引退会見の時にも「今の考えで若い頃の体力があれば20勝できる」って言っていましたけど、本当にそうなんですよね。「来年もやれ」って言ったら全然できるもん、この人(笑)。

山本 まぁ......できるよね。まだ何勝かする力はあったと思いますよ。でもそれはね、ジャイも一緒ですよ。まだホームランを10本打つ力はあった。引退した時の技術で年齢が25、6歳であれば、50本は打ってますよ。でも、それはもう叶うものじゃない。

山﨑 「もう充分だろ」「辞めろ、辞めろ」って、皮肉気味に笑いながら言うヤツがいたけど、そんなこと分かっているんだよ。それでもさ、続けてきたことでの葛藤であり決断に至るまでの時間、相当に悩まれたと思いますよ。

山本 まぁ......そりゃ悔しさはあるよね。ただ、決断して引退して、まだ時間がそんな経ってはいないけど、今はよかったかな、と思えているよ。

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