巨人ドラフト秘話。単独１位・桜井俊貴のどこに惚れ込んだのか (2ページ目)

　桜井は１年秋のリーグ戦から頭角を現した。京大戦での初完封初勝利をきっかけに４勝をマーク。２年春からエースとなり、３年春には６勝を挙げ、大学選手権出場に貢献。MVPも獲得した。

　球速も年々上がり、今では最速150キロを誇る。そのストレートに加え、スライダー、カーブ、チェンジアップ、スプリットを操り、１試合を任せられるタフな投手へと成長していった。

　桜井がプロを意識し始めたのは大学に入ってから。「この４年間でプロになれる投手を目指して練習してきました」と、高い意識を持って練習に励んだ。走ることでスタミナを養い、体幹トレーニングで体力強化を図った。益田スカウトも「順調にレベルアップしている」と成長を感じとっていた。

　だが４年の春、桜井は「本当にドラフトで指名されるのだろうか」と不安になるほど、制球難に陥（おちい）った。報道でドラフト候補として自分の名前が出ても、球団同士の駆け引きで名前が出ているだけだと思い込んでいた。

　今年のドラフトは、高校生では高橋純平（県岐阜商→ソフトバンク）、小笠原慎之介（東海大相模→中日）、平沢大河（仙台育英→ロッテ）ら、大学では上原健太（明治大→日本ハム）、高山俊（明治大→阪神）らが、１位候補として名前が挙がっていた。桜井についての各球団の評価は、「２位までには消える選手」という控え目な声が多かった。巨人のスカウト陣も高く評価はしていたものの、同様の見解だった。