DeNA筒香嘉智がドミニカ武者修行で追い求める「野球の原点」 (3ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Getty Images

 ただ、日本のプロ野球界と比べると、施設や環境面で恵まれているとはいえない。

「確かにそうかもしれませんが、道具は自分で運べばいいし、いい指導者と仲間がいて、原っぱがあれば野球はできるので、まったく気にはなりませんでしたね。僕自身、ドミニカへ行ったことで、それまで抱いていた焦りとかヤバイといった感覚がなくなったんです。今、自分にはやるべき課題があるから、それを一個ずつ確実に潰していけばいい。だから今シーズンは失敗しても後ろ向きな気持ちにならなかったんです」

 ドミニカでの経験が、確実に今シーズンの乙坂の台頭につながっているようだ。こういった話を聞くと、筒香がチャレンジしたいという思いに至ったのも理解できる気がする。

 乙坂は筒香について「本当なら僕もウインターリーグの試合に出場したいのですが、まだそのレベルにありません。ただ筒香さんのようにチームのトップがプレーしているのを見て学ぶことも多いでしょうから、しっかりと吸収してきたいですね」と語っている。

 シーズンが終了し、その後、宮崎フェニックスリーグ、侍ジャパン、そしてウインターリーグと続くハードなスケジュールゆえ、筒香の来シーズンへ向けてのコンディションを危ぶむ声もある。しかし、逆に高いレベルの中で経験を積むことはもちろん、純粋に白球を追う野球を愛するひとりの人間としてリフレッシュできる効果があるかもしれない。

 ドミニカ修行でブラッシュアップされるだろう来シーズンの筒香に、ますます期待は高まるばかりだ。

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