この世界で終わりたい。元ソフトバンク白根尚貴のトライアウト (4ページ目)

　トライアウト終了後、白根は多くの報道陣に取り囲まれた。

「いい印象を植えつけられたと思います。思い切り、強く振ることはできました。当てただけのゴロ……みたいなバッティングは避けたかったので」

　凡退した４打席を見ても、自分のスイングをした上で投球にしっかりとコンタクトできた打席が多く、内容は充実していた。白根は決然とした口調で、「今日、野手のなかで一番目立ったと思っている」と口にした。

　トライアウトを受験する選手の多くが戦力外通告を受けた後は実戦的な練習ができず、勝負勘を取り戻すことに苦労するという。だが、白根は直前までフェニックス・リーグで実戦を経験していたというアドバンテージもあった。

「フェニックスに行って、ボールを見られたのは大きかったです。ホームランも２本出ていましたし」

　そして、白根はなぜ自分がトライアウトを受験しようと決意したのか、思いの丈を語った。

「10月に入ってから考え始めて、もう１年（育成選手としてプレーして）思いとどまろうと思ったこともありました。それでも、トライアウトでチャンスをつかみたい気持ちが勝ちました。今は決断して良かったと思っています。育成選手のままでもノーチャンスではないとは思っていましたけど、最後は自分で動いて、自分の決断で決めようと思いました」