この世界で終わりたい。元ソフトバンク白根尚貴のトライアウト (2ページ目)

  • 菊地高弘●文&写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 また見た目の変化だけでなく、白根の口調がとても朗らかなことにも驚かされた。ファームでくすぶっている選手とは思えない、"陽"のオーラを発散している。相当、今の自分に手応えがあるのでは? そう聞くと、白根は首肯してこう言った。

「バッティングはプロのレベルにだいぶ慣れてきました。ホークスは三軍があるので、常にスタメンで実戦が経験できるのは恵まれていると思います。早く一軍に上がれるように、フェニックス・リーグでもアピールしていきたいです」

 来年は一軍で活躍が見られるのを楽しみにしています──そう伝えて別れてから1カ月後。驚くニュースが飛び込んできた。白根がソフトバンクからの育成選手契約のオファーを断り、トライアウトに参加するというのだ。真っ先に雁の巣で見た、あの清々しい白根の表情が浮かんだ。

 今季、白根は二軍で59試合に出場して打率.274、3本塁打。三軍では52試合で打率.335、6本塁打とまずまずの結果を残した。さらにその後、秋のフェニックス・リーグでは18試合に出場、打率.296、2本塁打と、本人の自信を裏付けるような好結果を出している。

 ルール上、白根のトライアウト参加は問題ない。支配下登録された経験のある選手が育成選手登録になった場合、翌年も育成選手契約を結ぶ際には「自由契約」になるとルールで決まっている。つまり、白根は自由契約の身でトライアウトを受験できるのだ。

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