プレミア12開幕。世界ランク1位の日本に落とし穴はあるか? (3ページ目)

  • 永塚和志●文 text by Nagatsuka Kazushi
  • photo by Getty Images

 また、日本にとって朗報は、大会使用球が日本のミズノ社製ということだ。メジャー使用球を使うWBCでは、毎回ボールに苦戦する投手が出てくるが、少なくともその心配はない。また、WBCで設定されている球数制限もなく、長いイニングを投げる力量があり、変化球を中心にボール球を振らせる技術に優れた日本人投手にとっては有利に働くかもしれない。

 では、日本のライバルとなるチームはどこか。注目は、韓国とキューバだ。

 韓国は、今季53本塁打、146打点の強打者・朴炳鎬(パク・ビョンホ)と日本シリーズでMVPを獲得した李大浩(イ・デホ)を筆頭に、打線の破壊力は屈指。キューバも元DeNAのユリエスキ・グリエル、アルフレッド・デスパイネ(ロッテ)らを擁し、高い攻撃力を誇る。

 さらに、マイナーリーグ中心で構成されているとはいえ、アメリカやドミニカ共和国も侮れない。思い出すのが2008年の北京五輪だ。オールプロで臨んだ日本だったが、準決勝で韓国に敗れると、3位決定戦でもマイナーリーグ中心のアメリカに完敗し、メダルを逃した。相手の情報が少ないということもあるのだろうが、国際試合では何が起きても不思議ではない。

 個人に目を向けると、オランダ代表のウラディミール・バレンティン(ヤクルト)やアンドリュー・ジョーンズ(元楽天)といった日本でもおなじみの選手の活躍にも注目したい。

 とはいえ、初めての大会だけに不透明な部分は多い。選手を派遣してこなかったことからもわかるように、メジャーリーグは明らかにこの大会に協力的ではない。この先、野球の国際舞台の主導権をどこが握り、五輪を含めた競技の国際化がどのように進められていくのか、この大会を通して見えてくるのではないだろうか。いずれにしても、今年最後の野球を思う存分楽しみたい。

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