巨人・原辰徳監督の「愛情」と「非情」の10年を振り返る (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 だが、その枢軸も徐々に陰りが見えてくるようになる。そのため、リーグ4連覇を目指した今シーズンは“新成”をスローガンに掲げ、枢軸の4人と内海、杉内に頼らないチーム作りに着手した。

 菅野智之、澤村拓一を投手陣の中心に置き、打線では大田泰示、小林誠司の台頭に期待した。投手のふたりは先頭となってチームをけん引したが、野手は大田、小林を筆頭に伸び悩んだ。結局、これまでと同じく枢軸頼みの打線になり、原監督のもくろみは外れた。

 時に、厳しい言葉を浴びせ、選手の奮起を促したこともあった。

 長野が打撃不振に陥(おちい)ると、「彼に合う打順がない」と言い、新外国人のフランシスコがシーズン途中に加入した際は、「ノルマは20試合で3打点だな」と、それまで24試合で3打点しかマークしていない村田を叱咤する意味を込め、コメントした。

 それまでにも、精彩を欠く村田に対して「今日はもう自宅に帰っていい」と試合中にもかかわらず強制帰宅させたこともあったし、坂本にも「年々、野球が下手になっている」とバッサリ。結果を残せないエース内海にも「今のままではニセ侍だ」「論ずるに値しない」と厳しい言葉を浴びせた。とにかく、チームの中心選手であっても甘やかすことはせず、常に厳しく接した。

 だが、原監督を支えた斎藤雅樹投手コーチは、「厳しさもあったけど、人情味のある人だと思う」と言い、9月終盤にあったある夜の出来事について話をしてくれた。

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