巨人・原辰徳監督の「愛情」と「非情」の10年を振り返る

  • スポルティーバ●文 text by sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そのオフ、日本ハムからFAの小笠原道大を、オリックスからトレードで谷佳知を獲得し、打線の核に据えた。小笠原は打率.313、31本塁打、88打点の活躍を見せ、谷も打率.318、10本塁打、53打点。新加入のふたりの活躍もあって、見事、5年ぶりのリーグ制覇を遂げた。

 08年は阪神に一時期、最大13ゲーム差をつけられるも、ヤクルトから移籍してきたアレックス・ラミレスが45本塁打を放つ活躍もあり、シーズン終盤に大逆転。リーグ2連覇を達成した。

 そして09年は小笠原、ラミレスを軸に、阿部、3年目の坂本勇人が急成長を遂げ、リーグ屈指の打線が完成。リーグ3連覇を果たすと、日本シリーズでも日本ハムを下し、02年以来となる日本一に輝いた。

 しかし10年からの2年間は、投打がかみ合わずリーグ優勝を逃す。なかでも、これまで巨人を支えていた小笠原、ラミレスの衰えが顕著になり、苦しい戦いを強いられることになった。勝てない試合が続き、「オガラミ依存」と言われることもあった。

 12年はそこから抜け出そうと、坂本、阿部、長野久義を中心に据え、また、横浜(現・DeNA)の主砲・村田修一をFAで獲得し、打線に厚みを加えた。さらに、内海哲也の他にもうひとり軸となる投手が必要と判断すると、ソフトバンクから杉内俊哉を補強。その甲斐あって、チームは勢いを取り戻し、09年ぶりのリーグ優勝、日本一。その後、2年間も安定した力を発揮し、原監督自身2度目のリーグ3連覇を達成した。原監督は、坂本、長野、阿部、村田の4人を"枢軸"と呼び、まさに彼らが中心となって成し遂げた3連覇でもあった。

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