ソフトバンク「最強の組織」はこうして作られている! (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 三軍は試合を組むのに苦労するという話を聞いたことがあるが、今年、ソフトバンクの三軍の試合は70戦近く行なわれた。こうして三軍でも多くの実戦経験を積むことができるから、選手たちの技術も飛躍的に伸びる。そうなることで、新たな競争が生まれるのだ。

 ドラフト会議から1週間が経った。今年のドラフトでソフトバンクが指名したのは、1位の高橋純平(県岐阜商)をはじめ、高校生の6選手。そして育成ドラフトでは高校生3人、大学生2人を指名した。

 現有戦力で唯一、レギュラーが決まっていない「捕手」についても、多くの球団が高く評価していた木下拓哉(トヨタ自動車)が残っていたにもかかわらず、あえて3位で高校生の谷川原健太(豊橋中央)を指名した。

 計11人の指名選手に“即戦力”を期待できる選手はいない。彼らは3年後、いや5年後の「常勝ソフトバンク」の中核を担う選手たちであり、「あと5年は頼んだぞ」という現有戦力へのメッセージにも聞こえた。

 球団会長の王貞治氏を頂点に、工藤公康という新たなリーダーを得て、その下には一軍から三軍まで支配下選手、育成選手を含め90人もの選手がしのぎを削っている。そのピラミッドは年々、強固なものになり、他球団を圧倒しはじめている。

 それにしても、昨年、今年の日本シリーズのソフトバンクは強かった。あまりにも強いから、すっかり忘れてしまっていたが、今年の日本シリーズにはあの内川聖一はいなかったのだ。

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