ヤクルトが屈した、常勝ソフトバンクの「巨大圧力」 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 このシリーズで、ヤクルトはソフトバンク打線の最大のキーマンと見られていた柳田を封じ込める(通算19打数3安打)ことに成功した。しかし、中村が言ったように、柳田の後を打つ李大浩を抑えることはできなかった。第5戦の試合前、中村はこう語った。

「第4戦のように、ランナーをためた状況で中軸に回すと大量失点につながるので、勝負が難しくなってきます。李大浩は、正直、ランナーなしからだと足がないので開き直れるんですけど......。今日(第5戦)は、まず立ち上がりですよね。このシリーズは立ち上がりからピンチが続いているので、そこをしっかり抑えたい。ただ、乗り切ったとしても、各打者の能力が高いので気が抜けないんですけど」
 
 中村が言うように、このシリーズでヤクルトは初回に決まって、得点圏にランナーを背負った。失点を許したのは第4戦の1点のみだったが、打順がふた周り目となるイニングはすべて失点。ヤクルト先発投手は、初回から体力と気力を激しく消耗したのだろう。それは、シリーズ全5試合でヤクルトの先発投手は誰ひとりとして5回を投げ切れなかったことが証明している。

 真中満監督は、先発投手陣が試合を作れなかったことについて、こう話した。

「慎重になりすぎている感じがします。大事な試合ですし、相手ピッチャーのことを考えると、先取点を与えたくない気持ちはわかります。だけど、配球、走者へのケア、どっちも慎重になりすぎているかな。先頭打者を出さないように、厳しく攻めた結果、フォアボールになってしまったり。ソフトバンク打線がいいので、簡単にストライクを取れないこともあるんでしょうけど......」

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