コイツはまだ使える。戦力外の中から「お宝」を探せ! (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 鵜久森を取材したことがある複数のライター仲間から「あの選手の取材対応は素晴らしい。目がキラキラ光っていて応援したくなった」という話を何度も聞いたことがある。面倒な雑務も厭(いと)わず率先してこなす姿勢も、ドライな編成スタイルの日本ハムで11年間契約を勝ち取り続けた理由のひとつだろう。

 外野手のコマ不足に悩まされているヤクルトが獲得調査に動いているという報道もある。「未完の大器」の代名詞になりつつあるスラッガーは、果たしてプロ12年目の春を迎えられるだろうか。

 DeNAから戦力外通告を受けた大田阿斗里(26歳)は、高い潜在能力を発揮できないままの8年間だった。

 帝京高3年時に春のセンバツで20奪三振をマークした剛球右腕。身長190センチ、体重95キロの巨漢で将来性を高く評価されていたが、プロ8年間の通算成績は68試合に登板して2勝14敗。6年目にプロ初勝利を挙げるまで10連敗を喫するなど、負けが大きく先行した。今季はプロに入って初めて一軍登板がなく、ファームでは21試合に登板して2勝1敗1セーブ、防御率5.96に終わった。

 強く腕を振れる投げっぷりは魅力だが、何年経ってもピッチングがアバウト。見切りをつけられても仕方がない状況だが、それでも新天地が見つかれば大化けする可能性も秘めている。昨年、DeNAから戦力外通告を受けた陳冠宇がロッテに拾われ(登録名:チェン)、今季5勝を挙げた例があるように、「ベイスターズから離れた選手は成功する」というジンクスもある。DeNAファンにとっては歯がゆい心境だろうが、まだブレークの夢を追い続けたい投手だ。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る