ドラフト総括、パ・リーグ編。ソフトバンクが見せた「圧倒的な力」 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 過去5年間でソフトバンクがドラフトで獲得した選手は育成も含め54人。その中で、一軍の戦力になっているのは誰かと見ると、投手は武田翔太、森唯斗、野手は柳田悠岐の3人ぐらい。あとは、わずかに育成出身の千賀滉大と飯田優也が少し顔を出すのみ。特に、この3年のドラフト1位の投手たち(東浜巨、加治屋蓮、松本裕樹)は、いまだメドが立っていない状態だ。

 ならば、今年は失敗できない年。それでも高校生6人である。現状は、先発左腕がやや手薄で、本気で狙おうと思えば地元・福岡出身の今永昇太(駒澤大)もいたし、中学まで沖縄で過ごした上原健太(明治大)も控えていた。なのに、高橋純平(県岐阜商)である。

 この余裕はどこから生まれるのか。向こう3~5年は現有戦力で十分まかなえるという現実的な見通しがついているのだろう。しかも、今の充実した選手層では、“即戦力”を獲得しても、チーム内の競争に勝てない。

 今季、ウエスタン・リーグの防御率上位をソフトバンクの若手投手が、長い間独占していたが、そんな彼らでもなかなか一軍に上がれないのだ。野手でも、毎年、二軍で3割をマークし、盗塁王を獲得している牧原大成ですら、一軍の出場機会はわずかしかない。

 今シーズン、ペナントレースで見せつけたチーム力、いや組織力を、昨日のドラフトでもまざまざと見せつけられた思いがした。まさに、「ソフトバンク恐るべし」である。

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