ドラフト総括、パ・リーグ編。ソフトバンクが見せた「圧倒的な力」 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 日本ハムは高橋純平(県岐阜商)、小笠原慎之介(東海大相模)をクジで外したが、明治大の大型左腕・上原健太の交渉権を獲得した。そして2位には同じく左腕の加藤貴之(新日鉄住金かずさマジック)。これも今のチーム事情を反映したピンポイントの補強だ。ただ、例年は高校生を積極的に指名してきたが、今年は8人中2人だけ。GMが変わったことが影響したのか、今後の展開を見守りたい。

 西武は富士大の快速右腕・多和田真三郎をはじめ、8人の投手を指名するなど、補強ポイントは明確だった。それも、多和田こそ全国大会での実績十分だが、他の投手は全国的に見て無名に近い選手。西武らしい「名より実」を取った指名だった。スカウトの眼力が試されるのはこれから。西武のドラフトの成否を評価するのは、もう少し先になりそうだ。

 楽天との競合の末に、仙台育英の平沢の交渉権を得たロッテだが、昨年も早稲田大の内野手だった中村奨吾を獲得しており、正直、この指名には驚いた。ポジション的にも被るし、現在、ロッテのショートにはキャプテンを務める鈴木大地もいる。平沢の指名を見て、昨年のドラフトはなんだったのかと思ってしまった。2位以下はすべて投手を指名しているだけに、補強ポイントは一目瞭然。それだけに、疑問が残るドラフトだった。

 そして今回のドラフトでもっとも大胆だったのが、ソフトバンクだ。なんと、高校生ばかり6人を指名してきた。

 今季のペナントレースで、ほんとに100勝したんじゃないか......くらいの勢いで、圧倒的な勝ち方を見せたソフトバンク。やっぱり過去のドラフト戦略の勝利なのかと思って調べてみたら、逆に驚いた。

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