ドラフト総括、セ・リーグ編。各球団の「守り強化」と巨人の迷走 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Kyodo News

 今季、ヤクルトは14年ぶりにリーグ優勝を果たしたとはいえ、投手陣の層は決して厚くない。試合終盤になると、ロマン、オンドルセク、バーネットの最強リリーフ陣"ROB"が控えているものの、先発陣は小川泰弘、石川雅規、館山昌平、杉浦稔大あたりで回していかなければならず、どう見てもひとり足りない。そこに原がうまくはまりそうな気がしている。

 驚くような数字もないし、びっくりするようなボールを投げるわけではないが、打者は次々に打ち取られていく。チェンジアップにカットボール、打者の手元で微妙に動いてバットの芯を外す。要するに、タイミングを外してフルスイングさせない技術を持った投手だ。昨今、希少価値が上がっている"シュート"を持っていることも、原の実戦力をさらに高めている。

 また、ヤクルトとの競合に勝ち、高山の交渉権を得た阪神も興味深い指名をした。その象徴が2位で明治大の捕手・坂本誠志郎を指名したことだ。坂本はインサイドワークと捕ってからの送球スピード、正確性に定評のあるディフェンス型の捕手だ。バッティングは良くなったとはいえ、ドラフト上位で指名されるほどの力量ではない。それでも、あえて2位で指名したところに課題を克服しようとする意志が見えた。

 広島も今のチーム事情を反映した指名になった。前田健太のメジャー移籍が噂され、黒田博樹も現役続行か引退かで迷っている状況だ。いずれにしても、ふたりがいなくなる可能性は大いにある。それを見越して、1位から3位に実力派の投手を指名してきた。

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