真中監督、カツノリコーチが選手にかけた「いつも通り」の魔法 (2ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 しかし、巨人の先発は今シーズン、対ヤクルト戦4勝0敗のマイコラス。負ければ2連敗となり、勢いは巨人に傾いてしまう。それだけに「QSくらいの気持ちでいいよ」という言葉に、正直驚いてしまった。野村バッテリーコーチにそのことについて聞くと、こんな答えが返ってきた。

「シーズン中も、6回を3失点で試合をつくって、後ろにつなげようと言ってきましたから。それを『今日は1点もやれないぞ!』とプレッシャーはかけられない。もちろん、1点もやれないんだけど、試合前からそんなことを言う必要はないからね。選手たちはCSということで、いつもより多少は気持ちが入っているだろうし、そこを和らげるのが僕らの仕事なので......」

 CSファイナルが始まる前、ヤクルトの不安は先発投手陣と言われていた。しかし、勝利した3試合はすべて先発投手に勝ちがつくなど安定したピッチングを披露。投手陣全体を見ても、巨人打線を25イニング無得点に抑えるなど、圧巻の投球を見せた。その投手陣を全試合、全イニングでリードした中村悠平が振り返る。

「僕自身はいつも通りにやれたと思います。シーズン中から、カツノリ(野村コーチ)さんと、冗談の部分もありますが『毎試合、完全試合を目指そう』とやってきました。無駄な1点とか、簡単に1点を取られていいケースなんてひとつもないんですよ。その中で、点を取られたら最少失点で抑えようと。シーズン中、その考えを貫くことができたからこそ、ファイナルステージでも変に意識することなくリードできたんだと思います」

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