川端、山田、畠山。史上初の「バラバラ三冠王」を達成した3人の思い (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 杉村コーチが続ける。

「天才が努力すれば結果はついてきますよ。天性のハンドワークと、ボールをバットの芯に当てる能力の高さ。広角に打て、打席でも粘ることができるからあっさり打ち取られることが少ない」

 今回のタイトル争いの中で、最後まで目が離せなかったのが首位打者争いだった。川端が3安打すれば、山田も負けじと3安打。山田がその差を一気に縮めれば、翌日には川端がまたその差を広げるといった場面を何度も見た。

―― 山田選手や畠山選手の活躍は刺激になりましたか。

「うーん、ちょっとはあります(笑)。でも、本当に意識はしてないんですよ。打席でもヒットを打ちにいこうとか思ってないですし。とにかく『つなごう』『フォアボールでもいいからランナーをためよう』と。今までもそういう意識でやってきましたし、それを変えて『なんとかしてヒットを打とう』とは思わないですね」

 そして山田哲人。前述のように本塁打王と盗塁王の二冠というプロ野球史上初の選手となったわけだが、3割、30本塁打、30盗塁の“トリプルスリー”も達成した。打撃に大きな注目が集まる山田だが、今季は守備、走塁でも飛び抜けた成績を残している。

 走塁面では、盗塁数もそうだが、出塁すれば相手バッテリーにプレッシャーを与え続けた。守備でも相手チームの脅威になり、山田が関わり完成させた併殺は二塁手では断トツの103個。春のキャンプで三木肇作戦兼内野守備走塁コーチと立てた「ダブルプレーに強い二塁手になろう」という目標を達成したといえるだろう。

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